債務整理事務所の裏側・実態

債務整理事務所の裏側・実態

このページは、債務整理をしたい方にとって役立つ内容ではありません。
しかしながら、債務整理に関してあまり語られない興味深い話はあると思います。

私は以前、東京都内の弁護士法人で債務整理の実務を約3年間担当していました。
相談立会いから解決まで、一連の流れをすべて経験していますので、その経験から、債務整理を行っている事務所の裏側と実態を書いてみたいと思います。

なお、以下の話は私が在籍していた弁護士法人での話であり、他の事務所さんがみんな同じなわけではありません。

依頼者はどこから来るか

私が在籍していた弁護士法人では、ホームページからの依頼のほか、弁護士会主催の30分無料相談会に弁護士が出向き、そこに来た方を事務所に連れてくることが多かったです。

私の意見では、弁護士会の30分無料相談会はおすすめしません。
理由は以下の点にあります。

  • どんな弁護士が出てくるかわかりません。
    相談者に弁護士の選択権がありません。
  • 相談日時が限られており、都合を合わせられないこともあるでしょう。
  • 重たい相談内容を30分で終わらせるというのも、無理があると思います。

私がおすすめする相談先探し

私のおすすめは、知り合いに債務整理経験者がいるのなら、その人の紹介が良いです。
なぜなら、紹介されるということは、その紹介者はその事務所に満足していると考えられるからです。

逆に、紹介してくれる人がいないのなら、ネット検索が良いです。
ネットで探せば、弁護士会の無料相談会と違って、気に入った事務所を選べます。
今ではどの事務所でも、債務整理については相談無料で対応していますし、こちらの都合に合わせて相談日時を決められますからね。

弁護士は自分で債務整理の業務をやっていない

トップページにも書いていますが、債務整理の業務は、9割方は事務職員がやっています。
理由は簡単、「必ず弁護士がやらなければいけない」とされている部分がほとんどないからです。

相談業務

私が在籍していた弁護士法人は、弁護士自身で業務をやっていた割合が高い部類だったと思います。

まず、最初の相談は弁護士自身ですべてやっていました。
他の事務所だと、弁護士はあいさつ程度に出てきて、あとは全部事務職員が相談をやっているなんて場合もたくさんあります。

ただ、それが悪いとは思いません。
債務整理の相談はたいてい同じパターンですので、1つ覚えてしまえば、考える要素はあまりありません。
法律知識をフル回転させるような問題ではないのです。

であれば、慣れた事務職員が相談をやってしまっても、悪影響はありません。
ただし、相談すべてを事務職員が行うのは違法ですので、弁護士があいさつ程度に出てくる感じになっています。

受任後

債務整理を受任したら、その依頼者さんがどの手段で債務整理を行うのがベストなのかを弁護士が決めます。

任意整理でいくと決まった場合

弁護士の仕事はもうありません。
全部事務職員で処理できます。

自己破産や個人再生でいくと決まった場合

残っている弁護士の仕事は、要所要所で裁判所に出向くことです。
尋問(ドラマで出てくるような法廷での主張)をやってくるわけではないので、すぐに終わりますし、準備は事務職員がやっているため、負担はありません。
裁判所に出向くこと以外の仕事は、全部事務職員で処理できます。

債務整理業務の難易度

任意整理、自己破産、過払金請求、ヤミ金処理については、法律事務所の仕事の中では簡単な部類です。
手順や手続きが決まっていて、考える要素があまりないため、覚えてしまえば何てことありません。

特にヤミ金処理は、手間が少なくて楽な面があります。
ただし、電話でかなり攻撃されますので、それに打ち勝つ心と話術は必要です。
あとは、忘れたころに蒸し返して電話がかかってくることもあり、多少は面倒な面もあります。
とはいえ、難易度自体は低いです。

例外なのは、個人再生です。
他の手段と違って難易度が高いです。
そのため、他の手段よりも報酬が高めに設定されています。
他の手段よりも案件数が少ないため、経験を積みにくい面もありますね。

債務整理業務の担当の仕方

事務所によって、事務職員による債務整理業務の担当の仕方が異なります。

  • 依頼者単位で担当する
    相談から解決まで、1人の依頼者さんを1人の事務職員で担当するやり方です。
    私がいた弁護士法人ではこのやり方でした。
    正直言って、次に紹介するやり方よりも効率は悪いです。
    その反面、依頼者さんに感情移入できますし、「この人のためにがんばろう」という気持ちにもなりやすいです。
    また、全部の手順を担当できるため、スキルアップもできます。
    私個人の感覚でいえば、こちらの方式のほうが好きです。
  • 手順単位で担当する(ベルトコンベアー方式)
    上記では「債務整理は手順や手続きが決まっている」と書きましたが、1つの手順だけ担当し、それが終わったら次の手順の担当者に仕事を流します。
    イメージ的には、ベルトコンベアーです。
    このやり方は効率が良く、しかも1つの仕事だけやっていればいいので、仕事を覚えるのが簡単です。
    その反面、ルーティンワークなので、すぐ飽きると思います。
    依頼者さんの顔も見えませんので、感情移入しにくい面もあります。

おそらくベルトコンベアー方式が多数

法律事務所は公的な機関ではなく、民間企業と同じです。
効率よく収益をあげなくてはなりません。

そのような事情から、大きな事務所や債務整理専門の事務所は、効率が良いベルトコンベアー方式でやっていると思います。

逆に、債務整理専門でなかったり、小さな事務所の場合は、依頼者単位で担当している事務所が多いと思います。
私がいた弁護士法人では、弁護士1人で事務職員6人という構成であり、事務所の半分くらいは債務整理以外の案件であったため、ベルトコンベアーが作れなかった事情がありました。

依頼者の噂をしてる?

どの業界でもありがちなことですが、職場の内々でお客さんの噂や悪口を言っているなんてことはあります。

債務整理の事務所でそれがあるかどうかですが、おそらく、ベルトコンベアー方式でやっている事務所は依頼者さんの噂をしていることはないと思います。
上記のとおり、依頼者さんの顔が見えない業務体制だからです。

私がいた事務所においても、依頼者さんの噂をしていることはありませんでした。
ですが、弁護士やその父親の噂はしていました。
もちろん、良い噂ではありません(笑)

事務職員は安月給

法律事務所の事務職員は、安月給です。
私がいた事務所では、1人で150件もの債務整理案件を回していた人(債務整理専門職員)が、月給19万円でした。
いくら債務整理専門といえども、1人で150件なんて回せないわけですが...

私については、他の民事案件、事務職員の勤怠管理、事務所の経理、事務所のウェブサイト制作などの仕事を受け持ちながら、債務整理案件を30件ほど回していましたが、それでも月給20万円でした。
昇給もボーナスもありません。
一応、残業代は出ましたが...

大きな事務所に行くと、時給制のアルバイトが多いと思います。

そのように、事務職員は安い賃金で働いています。

だからなんだ!?と言われたら、返す言葉はありません(笑)

債務整理でない民事案件については、考える要素も多く、法律知識をフル回転させないといけないことが多いので、給料に見合わななあとは思っていました。
ヤミ金処理も、危険度に見合った給料ではありません。

多くの職員はやりがいで頑張っている

なんでそんな安月給なのに頑張っているかというと、一言でいえば、やりがいです。
やりがいを追い求めて、みんな頑張っています。

  • 人の役に立ちたい
  • 困っている人のために何かしてあげたい

そんな純粋な気持ちの人が多いと思います。

もちろん、「おもしろそう」「興味がある」という感じの人もいます。
しかし、私の経験上、債務整理案件に関しては、そういう人は長く持ちません。

いろいろと書きましたが、弁護士法人にいたときは、良い思い出もたくさん、悪い思い出もたくさんあります。
どちらにしても、有益な人生経験をたくさんいただきました。
そして、やりがいを追い求めて頑張っていたころの自分がなつかしいです。

ということで、もしよろしければ、債務整理実務を行っている事務職員と接するときは、あたたかい目で見ていただけると嬉しいです。
その反面、もし怠けていたら、おもいっきり叱ってあげてください(笑)




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債務整理の分野には、どのような専門家がいるのか?
以下のページに書いておきましたので、ご参考いただければと思います。

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